EVやハイブリッド、本当にエコか 生産/流通/廃棄で生じるCO2の実態
公開 : 2018.03.03 18:10
従来車と電気自動車のCO2比較
発電時のCO2排出量を1kWhあたり500gとすると、ガソリン車やディーゼル車に比べ、バッテリー電気自動車の生涯CO2排出量はやはり少ない。
実際には、英国ナショナル・グリッドの発電は300g/kWh程度とよりクリーンになっており、このためバッテリー電気自動車もさらにクリーンになる。
しかし、EVの生涯CO2排出量の半分近くが生産時のものであり、バッテリーだけでそのうちの40%以上を占めている。このため、滅多にないことだがバッテリー交換が必要になった場合には、EVの生涯CO2排出量は同サイズのガソリン車とほとんど変わらなくなる。
完成間近のテスラのギガファクトリーのようにEVバッテリーの大量生産が可能になれば、バッテリー製造に伴うCO2排出量は減少することになる。製造技術の最適化、工場での再生可能エネルギーの使用なども貢献する。
真の意味で「ゼロ・エミッション」のEVなど存在しないことだけは確かである。
CO2排出量の計測 より正確に?
燃料の製造、クルマの使用と廃棄のフェーズに関しては、欧州にはクルマの環境負荷を減らすためのしっかりした規制がある。しかし何より重要な生産工程に関しては野放し状態だ。
ライフ・サイクル・アセスメントが規制として意味を持つために必要なこととして、リカルドは材料やプロセスに含まれるカーボンの詳細を記載した一元化されたデータベースの構築を提案している。
これにより廃車となるクルマの環境負荷や使用中のクルマのCO2排出をより詳細に把握することができるようになる。
全体的には既存のシステムの代わりにLCAを用いることにより、クルマのカーボン排出量をより正確に計測できるようになったという報告が増えている。そしてさらに重要なことは、何が環境に優しく何がそうでないかに関する新たな知見を LCAが与えてくれることだ。