アストンOne-77やフォードGT 生産の立役者、マルチマティック副社長インタビュー

公開 : 2018.03.04 11:40

マルチマティックの仕事

最初の仕事のひとつはGMのサターン・シリーズのドア・ヒンジの設計/製作だった。1980年代後半、飛ぶ鳥を落とす勢いだったホンダに対抗するために作られたクルマだ。

マルチマティックはヒンジには高い精度と専門性が必要だとすぐに理解し、今でもヒンジを専門のひとつにしている。もうひとつ、200万ドル(約2億円)の仕事があった。AIVと呼ぶオール・アルミ製のフォード・トーラス用のドアを作る仕事だ。

「プロジェクトは大成功でした。フォードはこのプロジェクトでアルミに関する多くの専門的知見を習得することができたんです」とホルトは言う。「アウディより先行していたんです」

この仕事を通じて、ホルトはフォードの技術開発のボスであるニール・レスラー(レーサーでもある)に出会った。その結果、マルチマティックはトーラスSHOレーシングカーを製作し、フォードに納めるということになった。

スコット・マックスウェルが運転するクルマは6レースで優勝し、1992年のファイヤーストン・ファイヤーホーク・チャンピオンシップでは大活躍した。ホルトは優勝したときの高揚感が好きだった。

これをきっかけとして、マルチマティックはレースに関係するようになる。以来、マークハムのクルマ(一部を除きほとんどがフォード)は北米の至る所でレースに参加し、2016年に最新のGTがル・マンでクラス優勝する以前にも数々の誇るべき勝利を挙げている。

ホルトの肩書きは技術開発担当の副社長であるが、実際には最大の顧客であるフォードとGM(それぞれ売り上げのおよそ35%を占める)相手の仕事はすべて自部門で仕切っている。9億ドル(約900億円)の規模だ。

マルチマティックには他にふたつの部門があり、それぞれに副社長が付いているが、スペシャルカーの製造とレース活動は技術開発の一部署であり、誇らしげに壁に飾られた30年に及ぶ特許証明書がその成功を雄弁に物語っている。

ホルトは技術開発とレース活動で得られる利益を3つ挙げる。

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