アストンOne-77やフォードGT 生産の立役者、マルチマティック副社長インタビュー
公開 : 2018.03.04 11:40
レース活動で得られる利益
ホルトは技術開発とレース活動で得られる利益を3つ挙げる。
「もしドア・ヒンジだけをやっていたら」と彼は言う。「まったく別の会社になっていたでしょう。今の会社には、クルマの技術開発をやりたいという若い学生がたくさん集まってきます。これからも増えるでしょう」
「エンジニアが増えるということは、社内プロジェクトで人手が欲しいときでも大丈夫だということです。それに、何よりもまず、レースでは大きな仕事につながるような技術を覚えられます。例えばアクティブ・エアロとかカーボンファイバー技術です。レースは、世界で何が行われているのか、何が必要とされているのかを学ぶ助けになります」
今後はどうなるのか? フォードGTプロジェクトが終了した後はどうするか、マルチマティックではまだ何も決まっていない。
「設備投資はすでに元を取ってあります」とホルトは言う。「なので、このプロジェクトが終わっても問題はありません。だから次に何をやるか、頭を悩ますのはやめました。自動車産業には沢山のチャンスがあります。将来をはっきりと見通すのは難しい。フォードのEVはひとつの世界を作りつつあります。他のメーカーでも同様でしょう。おそらく、それがわれわれの進む方向かもしれません。しっかりやっていれば、いつでも仕事はありますよ」
柔軟であり続けることが将来のビジネスへのキーだとも言う。もうひとつ、ビジネスを貫く技術開発への情熱を持ち続けること。
「あなたは今日、わたしと話しているだけではないんですよ」と彼。「最高にうまくいっている素晴らしいエンジニア集団と話をしているのです。わたしと同じくらいクレージーな連中がこのビルの中に60人はいます。わたしの仕事はクレージーをふるいにかけることだと言ってもいいくらいです」
「われわれにはクレージーであることが必要なんですよ」