ウサギとカメ ポルシェ911とスマート・フォーツーでかけくらべ 前編
公開 : 2018.03.10 11:20 更新 : 2018.03.12 17:12
ウサギはポルシェ911、カメにはスマート
でも今回は、どちらかと言うと純粋なドライブテストに近い。高速道路を長距離走るわけでもないから、給油による停車も不要だろう。ヨーロッパの最高の道で、A地点からB地点までの移動時間を計測するテストだ。速いクルマと遅いクルマ、ウサギとカメによる、総長300kmに及ぶ州を跨いだドライブとなる。
われわれはウェールズ州の端から端まで、南東のセバーン橋をスタート地点に、北西のメナイ橋をゴール地点に設定した。2台は同時にスタートし、到着時間の差が、質問の答えになるはずだ。
コースの次はクルマ選び。
速いクルマ選びは比較的シンプルだった。気温は低く、路面は湿り、道幅も変化が大きい。そんな条件では、わたしはポルシェ911ターボSが最速だと信じている。最高出力580psを叩き出す圧倒的なトルクと、4輪駆動システムに比較的コンパクトなボディサイズ。この競争には完璧なスペックの「ウサギ」だと思う。
一方で、遅いクルマ選びは難しかった。ダチア・サンデロやフィアット・パンダ、もっとコンパクトなクルマなども候補に上がったが、最終的にスマート・フォーツーに決めた。
初めにポルシェ911有りきだったから、ホイールベースが短めの、リアエンジン・モデルを無意識のうちに選んでしまったような気もする。一方で、時代を問わずスポーツカーの最速モデルとして君臨する911へ闘いを挑むのに、不釣り合いにも見える極めて小さなシティカーをぶつける、ということも悪くないように思えた。
スマートは、ベースグレードではなく、AT搭載の「プライム」グレードとなったが、最高出力は僅か90psで、0-100km/h加速には11.3秒を要する。まさに「カメ」に相応しいスペックではないだろうか。