ウサギとカメ ポルシェ911とスマート・フォーツーでかけくらべ 前編
公開 : 2018.03.10 11:20 更新 : 2018.03.12 17:12
BBCトップギアを陰で支えるプロドライバー
クルマは決まったが、カギを握るもうひとつの要素はドライバーだ。
わたしは既にスマートを運転しようと決めていたが、ポルシェには誰に乗ってもらうべきだろう。肝心なのは、確実なドライビングができるだけでなく、この競争をどう戦うべきか、目的をしっかりと理解してくれるドライバーだということ。
それには、マウロ・カロが適任だ。
中には、マウロを幾度となく気づかずに目にしている読者もいるはず。彼は、かつてクラークソンとハモンド、メイのトリオも司会をしていたBBCのテレビ番組「トップギア」の制作に長年関わっている人物。撮影がない時は、ミッション・インポッシブルなど、数多くのハリウッド映画のスタントドライバーとして関わり、また、われわれのようなテストドライバーもこなしている。
しかも彼は、ドリフト世界選手権のチャンピオンでもある。
だから、彼の協力が必要だった。彼が必要以上に飛ばして、望まないような結果に至ることはないという自信もある。
これで準備は整った。
ルール紹介といこう。設定したのは2項目のみ。
ひとつ目は、2台は全く同じルートを走り、基本的に信号や一時停止以外は止まらない。ふたつ目は、道路に設定された最高速度を原則的に破らない。どちらもスマートでも余裕で守ることができるルールだし、スマートにも有利に働くかもしれない。
でも、ポルシェには圧倒的なアドバンテージがある。遅いクルマを追い越すとき、加速の遅いスマートの場合は、しっかり前方を確認して、いつも以上の注意を払う必要がある。一方でポルシェは、ペダルを踏み込んだのと同時に、追い越しは完了するだろう。