コンパクトSUV、何を買うべき?(4) 決勝ラウンド 後編
公開 : 2018.03.11 19:10 更新 : 2021.03.05 21:43
三者三様の乗り味
乗り心地とハンドリングについていえば、X1とXC40のそれは全く対極にある。BMWのアダプティブ・スポーツサスペンションは路面の粗いエッジを打ち消してはくれるが、基本的には路面の感触を手元へコンスタントに伝え続ける。まるで大柄なハッチバックを思わせるハンドリングだ。
グリップはハードで、コーナリングは速く、ロールは少なく、フロントタイヤへ依存しすぎない。バランスの取れた挙動を保ち、敏捷で、まだまだスピードを上げられそうな感覚だ。快適でもあるのだが、それはスポーティなハッチバックの範疇を出ない。ややノイジーだが、これはMスポーツ仕様のランフラットタイヤ装着車であることに起因するものだ。
CX-5はもっと普通の、典型的なSUVの走りをみせる。ステアリングの手応えも速さも最適化され、フィールはナチュラルで直観的だ。サスペンションは乗員すべてが快適に過ごせるうえに、ドライビングも楽しめる。ティグアンやクーガより優れているのだから、マツダの仕事ぶりに拍手を贈りたい。ただし、バンプがシャープになると、ホイールがドタバタし始めるのだけが残念だ。
XC40はいかにもボルボらしく、歓迎せずにいられないほど実用重視ド真ん中なクルマだ。乗り心地はソフトで、サスペンションは無理な走りをしなければ、路面の傷や轍もほとんど感じさせないし、そういうペースを保つのも容易だ。
B級道路を快適に流せる速度を数km/h上回れば、穏やかな上下動とゆったりとしたロールや、不快でない程度の周期的なハーシュで、それをはっきり感じさせてくれる。「スローダウンしろ、そんなに飛ばすのはこのクルマのガラじゃない」という合図というわけだ。