新型アストン マーティン・ヴァンテージ試乗 雪上の前哨戦

公開 : 2018.03.12 10:10  更新 : 2018.03.12 13:29


スムーズで安定した走り

ベッカー氏はこのクルマのサスペンションがリジットマウントされていることによりDB11よりも騒音が大きくなっていることを認めた。ただし、彼は911やメルセデス-AMG GTよりは静かで、スポーツモードにおいても乗り心地は確保されていると言った。

今日のところは彼の言うことを鵜呑みにするほかない。乗り心地については圧雪路では判断しかねるからだ。しかし、コースを慎重に走るうちに、このヴァンテージが彼の言う通りDB11以上のハンドリングの持ち主であることは理解できた。大理石のように固められた雪の上でも、より軽量なスポーツカーのような回頭性を持ち、扱いにくさは全くなかった。

ステアリングはやや重くクイックだが、より横方向への力を加えられるグリップの高い路面ではまた変わってくるだろう。ハンドルの切れ角も申し分ない。優秀なスタビリティ・コントロールがスロットルを制御してくれるおかげで、こんな路面でもとてもスムーズでハンドリングも落ち着き払っている。

電子制御デフが高めるコントロール

さて、モードを切り替えてみよう。おとなしいモードにしていればスロットル制御も穏やかだが、このV8を本気にさせるにはトラックモードにしなければならないのだ。

ちなみに、このクルマにはオプションのスポーツ・エグゾーストが装備されている。ベッカー氏はわたしにサスペンションをスポーツ・プラスにするように言った。これによりダンパーが引き締まり電子制御デフがコーナリング中の姿勢制御を助けてくれるらしい。よしきた。

「デフが255kg-mのトルクでロックされます。カウンターステアやジャンクションでのトラクションが全く変わります。通常の機械式デフでは51kg-mから102kg-m程度がせいぜいですから」と彼は言った。

限界域におけるハンドリングのバランスはとてもわかりやすく、賢明だ。ESPをオフにしても、ターンインでスロットルを離す際に適切にデフをロックしてくれているように感じられる。そして姿勢を安定させるために再びパワーを加えると、雪上ゆえ48km/hでも徐々にオーバーステアに持ち込むことができる。

リアアクスルが不思議なほどコントロールしやすいのだ。これにはさほど大きなパワーは必要なく、リアデフの繊細なセッティングが重要な役割を果たしている。このあたりに全く欠点が見当たらないのだ。フロントエンジン車としては信じられないほど落ち着いた身のこなしだ。

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