長期テスト トヨタ・ミライ(1) 水素燃料電池車「ふたつの見方」
公開 : 2018.03.13 17:10 更新 : 2021.01.28 18:23
ミライ納車 第一印象は
燃料補給の機会がないチョイ乗りは経験があるが、これからはそうはいかない。ロンドンの水素ステーションはテディントン、ヒースロー、ヘンドンそしてレイナムのたった4カ所。やっとまもなく、コバムにあるハイウェイM25号線の広いサービスエリアに民間向けのステーションができるという状況だ。
ジョン・ハントとは、AUTOCAR編集部のあるトゥイッケナムで落ち合った。そこから、長期テスト車ともう1台のミライでまず近くのテディントン、次にやや離れたヒースローの水素ステーションへ向かう予定をたててくれた。
ミライを運転した感じは日産リーフにけっこう近い。ゼロ発進から最大トルクが出るのがそうだし、時にコンプレッサーがかすかにカタカタ音を立てはするが、ノイズがほとんどないのもそうだ。即座に望むだけのトルクを出してくれるのも同じだ。
たまにロードノイズが目立つのは、他の音で紛らわされることがないからだろう。4.9mにもなる全長と2名乗車で2t近くにもなる車重が効いて、乗り心地は非常に柔らかく、揺れもやさしく鎮まる。
水素の補充は簡単だ。クルマとポンプがしっかり接続されたことを確認しないといけないことと(700気圧もの高圧、しかもマイナス40℃で流れるのだ)、ハンドルを握らなくてよいことを除けば、ガソリンを入れる作業と大して変わらない。電気自動車の充電とは大違いだ。
航続距離も大した心配ではない。トヨタは水素燃料5kgで「480kmも」走れるという。
距離を伸ばす秘訣はただアクセルを踏むのではなく、すきを見て回生ブレーキでエネルギーを取りもどし、小容量の駆動用バッテリーをなるべく充電できるよう常に気を配って運転することだ。
それでも、ミライは本質的にシンプルで、静かで、極めて洗練されている。変速しないのにトルクもあふれんばかりだ。これだけ静かでスムーズだとハードな運転をする気も起こらないが、実際の性能は最高速度が179km/h、0-96km/h加速も9.6秒とまずまずだし、操縦安定性もなかなかだ。
まあ今のところ、周りのひとたちは気づき始めているようだ。われわれのミライがいくら走ってもテールパイプから汚いものを出さないことと、こんな目新しいクルマを所有し走らせる喜びを記事にすることがこのクルマの人気に少しでもつながるかもしれないことを。
テスト車について
モデル名:トヨタ・ミライ
新車価格:6万1500ポンド(893万円) 政府補助金4500ポンド(65万7000円)を差し引いたもの
テスト車の価格:6万1500ポンド(893万円)
テストの記録
燃費:80-88km/kg H2(約9.2km/ℓ)
故障:無し
支出:無し