ロードテスト 三菱エクリプス・クロス ★★★★★★☆☆☆☆
公開 : 2018.03.31 16:10 更新 : 2018.03.31 16:43
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
プラットフォームが上位機種となるアウトランダーのそれをベースにした改修版であるため、エクリプス・クロスの長さと高さはキャシュカイやアテカを多少ながら明確に上回っている。デザインは2015年のジュネーブ・ショーで公開されたXR PHEV IIコンセプトに由来する。そのショーモデルの大きなグリルやもっと角度のついたテールゲート、大胆なボディパネルの処理を、量産向けにおとなしくしたクルマ、ともいえる。
とはいえ、このクラスでは最も目を引くスタイリングの持ち主といっても過言ではない。とくに、ウェッジシェイプのリアエンドはキャッチーだ。C-HRやT-Rocさえいなければ、その印象の強さは圧倒的だっただろう。
スティール製プラットフォームは、フロントの3点留めタワーバーなどが利いて、アウトランダーよりねじり剛性が飛躍的に高まっている。これには、ドアとテールゲートの開口部やリアのホイールハウス周りに構造用接着剤を充填したことも奏効している、というのがメーカー側の説明だ。
サスペンションはフロントがストラット、リアがマルチリンクの無難なセットアップ。しかし、ダンパーチェックバルブやリバウンドスプリング、スラントさせたストラットのスプリングパッドや、マルチリンクのスペシャルなブッシュなどを採用し、アウトランダーの水準を大幅に超える乗り心地とハンドリングを求めた。電動パワーステアリングもアウトランダー用がベースだが、ダイレクトなギヤ比と新型モーターが導入された。
発売時に用意されるエンジンは、新開発の4B40型1.5ℓガソリン直噴ターボで、163psのパワーと、1800〜4500rpmのワイドなレンジで発生する25.4kgmのトルクを謳う。150psの2.2ℓディーゼルも待機中だが、現時点では日本導入の見込みは薄い。
トランスミッションは、今回の試乗車に積まれている6段MTが前輪駆動専用。自動変速機は、ガソリン車ではFFでも4WDでもCVTが選べるが、ディーゼル車は8段トルコンAT+4WDのみの設定となる見込みだ。
おもしろいことに、三菱が予期している英国での売れ筋は、CVTだろうがトルコン式ATだろうが、オートマティック+4WDだという。このクラスでは主流ではないが、ユーザーが三菱車に期待する能力を提供してくれるのはこの仕様ということだ。その4WDが発揮する悪路走破性に関わりそうなスペックを挙げてみると、最低地上高は183mm、最大渡河深度は400mm。インテリジェント4WDシステムは、最大45%の駆動力をリアに分配し、左右はブレーキを利用したトルクベクタリング機構で差配する。