ロードテスト 三菱エクリプス・クロス ★★★★★★☆☆☆☆
公開 : 2018.03.31 16:10 更新 : 2018.03.31 16:43
乗り味 ★★★★★☆☆☆☆☆
歴史的に、ラリーで勝利を収めるためのハードウェアや、地球上で最も過酷な環境を走るクルマを生み出してきた三菱だが、このクルマについては状況が違う。すなわち、エクリプス・クロスは乗り心地に優れる反面、ハンドリングについてはこのクラスの最高水準に遠く及ばない。
まずは乗り心地の話から始めよう。巡航速度では、エンジン音は素晴らしく抑えられ、サスペンションの上下動は控えめ。その寸法とコストを考えれば、かなり洗練されている。荒れた路面を低速で走ると少なからぬ干渉を受けるとはいえ、セカンダリーライドでクラストップクラスのモデルに対抗するには、疑いなくさらなる改良を必要とする。
これまで積み重ねたテスト経験に照らせば、4WD仕様はこの点で影響が少なくなるはずだが、ややしなやかさに欠けるダンパーの動きは残るだろう。ホイールをテスト車の18インチよりインチダウンすれば改善できるだろうが、そうすればハンドリングの低下も避けられない。
そのハンドリングに関する問題点は、すぐさま明らかになることはない。日常的な速度域では、コーナリングでほどよいバランスをみせる。そうはいっても、活発な走りをすると、手に負えないロールと積極的すぎる電子制御の介入に見舞われるのだ。思うに、前輪駆動のエクリプス・クロスに固有のトラクションの問題点を隠すため、ESPの制御を過剰に調整しているのではないだろうか。
それが悪化するのが、まずまず優れたボディコントロールの基本レベルを上回った時だ。サスペンションが、このクルマの重量を御しきれなくなるのである。こうなると、コーナーでの挙動は全く読めなくなる。
この問題は明らかに、このクルマのスペックに期待する走り重視のドライバーを失望させる要因となる。しかしそれにも増して、必要以上に運転を難しくし、やる気を削ぎ、時として苛立ちすら覚えるものだ。