M・ベンツGLC F-セル同乗試乗 メルセデス最新の燃料電池モデル 日本導入も
公開 : 2018.03.26 18:40
GLC F-セルの運転はどんな感じ?(2)
サスペンションには、バッテリーによる重量増に合わせたチューニングが施されており、高速でスムースな路面を走行している限りは十分快適だが、低速で路面状況が悪化するとやや落ち着きを欠く。この点は、GLC 350e プラグイン・ハイブリッドに似ている。
インテリアにおける通常のGLCからの変更点は、ふたつのタンク内の水素残量と、リチウムイオン・バッテリー残量を示すデジタル表示などで、あまり多くはない。インフォテインメント・モニターに表示されるエネルギーフローによって、ドライバーはどの動力源を使用しているかを確認することができる。
実用性の面では、GLC F-セルは他のガソリンやディーゼルモデルのレベルには達していないと言わざるを得ない。リアの水素タンクによってリアシートが40mm高くなり、ヘッドルームが犠牲となっている一方、GLC 350e同様、トランクのフロアにリチウムイオン・バッテリーを搭載したことで、日常使用に十分な容量は確保しているものの、積載量も削減されている。
パッケージングへの影響を除けば、GLC F-セルはゼロエミッションのバッテリーEVとしての能力と、ガソリンエンジンモデル並みの航続距離を確保したクルマとして、素晴らしい存在である。だからこそ、搭載するパワートレイン技術の進歩に対して、FCVに真の利便性をあたえるはずの水素充填インフラの整備が遅れていることが非常に残念だ。水素充填ステーションの数が増えない限り、GLC F-セルの販売も伸びることはないだろう。