アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ試乗 SUVらしからぬ運動性能
公開 : 2018.04.03 10:50 更新 : 2018.04.03 10:52
輝くシャシーバランスとエグゾーストノート
今回のテスト車両はゴツゴツしたウインタータイヤを履いていたものの、後輪駆動ベースによるシャシーバランスの高さが光る。今までのSUVで、ステルヴィオほどの走りを見せたクルマはあっただろうか。
基本的に、幅が285もある太いリアタイヤが滑り出すまでは後輪駆動となり、変化する路面状況に応じて、61.1kg-mに達するトルクの最大で50%がフロントタイヤへ伝達される。
アルファ・ロメオによると、0-100km/h加速は3.8秒で、ポルシェ911GTSのPDK仕様より0.1秒遅いだけ。不足はない。
そして、このドライブトレインこそ、ステルヴィオを特徴づけるものと言える。
見事に制御される4輪駆動システムと、暴力的なまでに強力なエンジンが組み合わさることで、国境をまたぐような長距離移動も、驚異的なスピードでこなすことが可能なのだ。
しかもこれに美声が加わる。
確かにダウンサイジングターボ・エンジンには違いない。しかし、ドライビングモードを選択するDNAスイッチを「ダイナミック」にすればアグレッシブさは増すし、電子制御が介入しなくなる「レース」にすれば、シフトアップの度に笑顔が溢れるような咆哮が響き渡る。そして、不自然に作った感じがしない音質も、とても好印象なところ。
ウェールズ州のカーブが続く道を走れば、軽快で俊敏なステアリングフィールに心が躍る。フェラーリ譲りの、巨大なパドルシフトが付いたステアリングホイールを操っていると、このクルマが巨体の持ち主だということを、思わず忘れさせてくれる。
リア・ディファレンシャルの左右に備わる電子制御クラッチを制御して、トルク配分を左右で自在に調整するトルクベクタリング機能も備わる。リアサスペンションも確かな駆動力を発生させる充分なしなやかさがあり、ステルヴィオの見た目とは裏腹に、コーナリングマナーは優れていると言えるだろう。
偽りなく、秀逸なドライブトレインだと思う。