JLRのエグゼクティブ・ディレクター、どんな仕事? インタビュー
公開 : 2018.03.31 18:10
熱く語るトップ就任後の3年間
トップ就任後の3年間について、彼は顔を紅潮させながら並べ立てる。
ジャガーXFのモデルチェンジ、ジャガーF-PACE、ランドローバー・ディスカバリー、レンジローバー・ヴェラール、ジャガーI-PACE、ジャガーE-PACEの新車開発、新しい多車種用インフォテインメント・システムの開発、その他数多くのモデルの2018年フェイスリフト。
そしてこれらのトップに来るのがウォールバーハントン発のインジニウム・エンジンの継続的な多車種展開である。JLRの技術開発部門がもっと広い場所を必要としているのは間違いない。
これだけの規模に成長してもなお、ジャガー・ランドローバーはライバルたちよりも機敏に動けるとロジャースは信じている。即断力と市場への敏速な対応だ。
「われわれはまだファミリー企業だと思っています」とロジャースは言う。「皆と同様、言葉の最も強い意味で物事をより速く進めようと日々悪戦苦闘しています。でも、われわれの決断は早いし、組織はとてもフラットなんですよ。ラルフ・スペッツ(JLRのCEO)はそう固く信じています。われわれ7人は隔週の月曜日ごとに集まって主要な課題を話し合い、その場で即決するよう心がけています」
何事も実証してみること。ロジャースの技術開発に対する情熱はいささかも変わらない。新築のビルを見下ろす彼の「打ち合わせオフィス」の窓台には、その証拠が展示されている。
革新的な新型I-PACEに使われる電動モーター(自社で設計開発するのに熱心である)、冷却補器類、それに高そうに見えるアルミ製の電子制御ボックスなどだ。
中でも目を引くのが(研修生のひとりが見つけたのだが)新型電動I-PACEのサスペンション・サブフレームである。スーパーフォーミングで作られた世界初の構造で、製造が大幅に簡易化される。われわれはこれらの複雑な部品をじっくりと手に持ち、その姿かたちを堪能した。
次は技術開発の難しさ、技術開発への挑戦について話し合う時間だ。ロジャースはユーモアを交えながら困難はたくさんあると認める。この会社のように大きな技術開発部門のトップは、彼のように楽天家でなければならない。
スペッツとラタン・タタ(JLRの親会社であるタタ・グループの当時の会長)がロジャースを技術開発トップに指名した理由である。彼は過去に何度か難局に直面している。
一度は、エクスプローラーを短くしても次期ランドローバーにはならないと、米国に行ってフォード(当時のJLRの親会社)に説明してこいと言われた時だ。もう一回は、欧州の主要鉄鋼メーカー(タタのことだ)に今後のJLRのクルマはアルミ製にすべきであると説明した時である。
エンジニアとデザイナーがどのようにやり取りをするのか、わたしはとても興味があった。