JLRのエグゼクティブ・ディレクター、どんな仕事? インタビュー

公開 : 2018.03.31 18:10

エンジニアとデザイナーのやりとり

エンジニアとデザイナーのやりとりに興味があったのは、現代では多くの場合デザイナーの発言力の方が強いからだ。

「彼らにはわれわれが必要なんですよ」とロジャースはざっくばらんに話してくれた。もっとも重要なことはJLRのフラットな組織における関係性であると念押しして。

「ゲリー・マクガバーンとイアン・カラムは古くからの知り合いです。ふたりの性格はとても違うし、それぞれ別々にチームを率いていますが、われわれは上手くやっていますよ。時には感情的になることもありますが、それはとても健全なことです」

ディーゼル需要の突然の減少は、自らディーゼル・エンジンを製造している会社には頭痛の種だと思うが、JLRはガソリン・エンジンも製造していることを幸いに思っているに違いない。

「ディーゼルに対する認識が2、30年も戻ってしまったようで残念です」とロジャースは言う。「現代のエンジンは信じられないほどクリーンなんですよ。われわれには運がなかったということです。われわれはエンジンをいつもファミリーとして開発してきました。ガソリン・バージョンとディーゼル・バージョンは同じ流れです。われわれはいつもどちらがいいのか、話し合ってきました。でも世界的にはつねに両方とも重要だと思っていて、ある地域で急な変化が起こるとは予想していませんでした」

わたしのもうひとつの懸念は、こらからの独創的なクルマの開発についてである。JLRは従来モデル群の隙間を急速に埋めつつあるので、レンジローバー・イヴォークのような独創的なクルマ-まったく想定外の成功だった-はもう出てこないのではないかとわたしは心配なのだ。ロジャースはそんな心配などしていない。

「独創的なイヴォークの後もたくさんのことをやってきましたよ。ジャガー初のSUVであるジャガーF-PACEを例に挙げましょうか。それにI-PACE。まったくのサプライズです。今後も今までと全然違った独創的なクルマを出していきますよ、絶対にね。約束します」

そういうと彼は棚のところに行って、いまはもう走っていないカッコいいランドローバー90クラシックのミニチュアを取り上げ、わたしの前に置いてこう言った。「こいつをもう一度やらないといけませんね」同意せざるを得ないではないか。

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