トランスポーターのドライバーという仕事 積み込みの極意は?
公開 : 2018.04.08 18:10
タラップの角度に注意
トランスポーターの二つのデッキは、実際にはクルマ1台ごとに割り当てられたタラップのつながりであり、油圧制御システムによって傾けたり、上下、前後に動かすことができる。このシステムのおかげで極端な角度でも少しずつクルマを動かすことができるため、大型のクルマも搭載が可能だ。さらにこのシステムは運転台を含めたトランスポーターをいわゆる「リジッド・ショートホイールベース」状態にできるので、連結式のトレーラーもひどいコーナーを曲がることができる。
コツはタラップの角度に注意することだとミックはいう。つまり、各タラップを傾けていく際に載っているクルマのボンネットが上のタラップの底にぶつからないようにすること、タラップの後端部が後ろのクルマのボンネットに当たらないようにすることだ。さらに、トレーラーが旋回する際、急なキャンバーでクルマのフロントガラスが割れる恐れがあるため、どのクルマを連結部の向こうにおくのか、よく考えなくてはならない。
トランスポーターの二層のデッキを構成するタラップは、油圧によって上下する。移送中の沈み込みを避けるため、タラップはエアで制御する格納式のツメで固定される。
クルマやトラックの上下動も考慮して安全な高さを超えていないかを確認するため、ミックは長いL型の計測棒をもってトランスポーターの前から後まで歩く。考慮すべきは橋だけではない。公共事業費の削減により街路樹はいまや剪定されていないので、クルマの屋根を引っ搔く恐れがあるのだ。
クルマをフルに積載したオデッセイを最初の目的地までミックが運転するのに同乗した私は、運転手が私でなくミックで本当に良かったと思った。食洗器に皿を入れることさえできない私が、12台積載のトランスポーターを扱うなんてどだい無理な話である。