フォードF-150 英国試乗 高性能版「ラプター」の走りは
公開 : 2018.04.08 10:10 更新 : 2018.04.08 17:01
英国に似合わない巨体
とはいっても、ラプターいちばんの見どころは価格だ。アメリカでの希望小売価格は5万ドルをわずかに超える程度。3万6000ポンド(532万円)にもならないのだ。高性能パーツやヘビー級の強靱なシャシーがおごられることを忘れてはいけない。手に入る金属、ガラス、プラスティックの「量」だけをとれば、ものすごくお買い得なのだ。クルマの成りたちからすれば破格といっていい。
さて、このラプターほどイギリスの田舎道で場違いなクルマもなかろう。もちろんサイズの話だ。ボンネットは他のクルマの屋根ほどの高さ。フロントのサスペンションアームはさながらデッキチェアだ。ちょっと近所で運転してみただけで、もうお腹いっぱいになることうけあいだ。
イギリスのありふれた田舎道を走っているラプターの後ろ姿は、まるで道路に合っていない。左のタイヤは路肩の土を踏みあらし、いっぽうで右側ではキャッツアイを次々と押しつぶしている。
そしてバックミラーに映る姿といったら、あまりに背高で幅広でこわもてな顔つきなので、ドライバーが自分に腹を立てているにちがいないと思いこんでしまうくらいだ。すぐ背後に迫っているわけでもないのに、大口を開けたグリルで後ろからクルマもろとも飲みこもうか、あるいは踏みつぶしてしまおうかとばかりに敵意むき出しにみえてしまうのだ。
だがあいにく、こんどは自分でこれを運転しなければならないのだ。
運転席によじ登ると、自分の体が小さくなったかと錯覚する。やたらと大きなシフトレバーにおもちゃのようなボタン。センターアームレスト下のボックスはビール箱すら入りそうなくらいだ。だが、その割には後席のレッグルームはちょっと笑えるくらい狭い。
この高さからだと、フォードがここイギリスで販売するピックアップのレンジャーですら手にとるように見える。さも、子どもにちょうどいいクリスマスプレゼントみたいに。