フォードF-150 英国試乗 高性能版「ラプター」の走りは
公開 : 2018.04.08 10:10 更新 : 2018.04.08 17:01
馬鹿げていると思いつつ欲しくなる
街中に入りこむと、田舎道よりもいっそう理不尽に思えてくる。死角が大きすぎて、どこかにクルマ、ことによるとマイクロバスなんかが潜んでいるのではと絶えず恐怖にさいなまれるのだ。
なので、はた目よりもはるかにこわごわとはいずり回ることになるのだが、すぐに落ち着いて「難なく」乗り回せるようになる。かりに交差点で小回りしすぎても、このクルマなら縁石に乗り上げるくらいまったく何ともないのだから。
そうするうちに、フィエスタに乗っている時とはちがって目の前の狭い道にとらわれなくてもいいのだとわかってくる。行く手の歩道や芝生や草むらくらいは乗りこえてしまえば良いのだし、そのうち道路じたいも単なる進路の目安にしか見えなくなってくる。道にとらわれないのなら、渋滞なんてものも関係のない話だ。
まじめな話にもどると、農場を持っているとか、あるいはスコットランドのどこかへんぴな荒野にでも住んでいるとかでなければ、イギリスにラプターの居場所はないのかもしれない。ほかの場所では、あまりにバカでかくて反道徳的にすぎる。
しかしこのラプターは、買わない理由がそっくりそのままほしい理由になってしまう、きわめてめずらしいクルマなのだ。馬鹿げたクルマにはまちがいないが、ここまでくるともうあっぱれというしかない。そして今回やってみたように、人生をもうすこしくらいバカバカしく生きてみてもいいんじゃないかとすら思えてくるのだ。