メーカーばかりの注目、理不尽? サプライヤー「GKN」 脇役の矜持
公開 : 2018.04.15 16:10 更新 : 2018.04.18 18:12
GKN社の4WDシステム
自動車メーカーやサプライヤーはクルマや車両制御システムを効率よくしあげるために、毎年2、3カ月ほどこの施設を利用しているのだ。
このE-PACEにも、2014年にはじめてイヴォークで採用されたGKNのAWDアクティブ・コネクト・ツインスター技術が使われている。
左右の後車軸に1組ずつ多板クラッチがつけられ、そのつなぎ方を細かく電子制御することで、左右別々に駆動力を変えられるすぐれものだ。ひと言でいうなら電子制御LSDで、グリップ、駆動力、安定性を保つためにトルクベクタリングをおこなう。
また省エネのためとあらば、両方のクラッチを切りはなすことで即座に4WDからFWDに早変わりすることもできるのだ。
この技術はフォード・フォーカスRSにも改良を加えてつかわれているし、ヴォクスホール・インシグニア4WDのグランド・スポーツとスポーツ・ツアラーにも別のバージョンが搭載されたところだ。
このシステムを備えたE-PACEは、氷の上では暴れん坊そのもの。オーバーステアでコーナーに飛びこみ、スロットルから右足を浮かせてリアを外へ振らせたら、ステアリングを動かさずともスロットルでいかようにも曲がれてしまう。
はじめは本能的にブレーキを踏みたくなるかもしれないが、いったん要領がわかればE-PACEのハンドリングの融通性にただただ舌を巻くことになる。これもひとえに、ジャックマン-デイをはじめとする技師がつくったシステムのおかげだ。
ただ、悩みの種もある。こういうすぐれた技術で褒め称えられるのは、たいがいそれが載ったクルマのメーカーのほうで、開発した一次下請けのサプライヤー(業界用語で「Tier 1」とよばれる。GKNドライブラインのような大手ですら例外ではない)ではないのだ。