回顧録 アストン マーティンV8 ヴァンテージ vs アウディR8 前編
公開 : 2018.04.15 09:10
270km/h以上では差が明確に
両者のパワー差はわずか6psしかなく、さらにこの速度域では重量差もそれほど決定的な差とはならない。だからアウディについていこうとするならツーリング気分を捨て、本気で走る必要がある。だが、先を行くアウディが完全に安定したコーナリングを見せている一方で、こちらは精一杯なのが自分でもわかった。それはアストンにグリップが欠けていたからではなく、自分がステアリングを通して確信を持てなかったからだ。
それでも食らいついていったのだが、なんとかなったのは道路が完全にストレートになるまでだった。地平線の彼方へ向かって全力疾走を開始してすぐに、アウディをとらえるのは不可能だと思い知った。ものすごい勢いで視界から消えていくというわけではないが、270〜290km/hの速度域では、アウディは少しずつだが容赦なく差を広げていく。アストンに打つ手はなかった。私は速度を200km/hまで落とし、敗北を認めた。
というわけで、まず知っておくべきは、新しいV8を獲得してもなおこの新型アストン マーティンは、もはや最新というわけでもないアウディと対等には勝負できないという事実だ。少なくともアウトバーンではそうだった。