VWゴルフRの2.0ℓ直4搭載 セアトのホットハッチ「レオン・クプラR」試乗
公開 : 2018.04.13 16:10
どんな感じ?
バンピーなイギリスのB級路だろうと、レオン・クプラRはあらゆる地点間をシートベルトとホーンのついた乗り物で可能な最短時間で移動する。
二輪駆動だから、コーナー出口でアスファルトをパワーで砕くことはない。しかしフロントタイヤは驚くほど地面に食らいつき、クルマ好きの心をときめかせる獰猛なエンジンのパワーを漏らすことなく路面に叩き込む。
過激なホットハッチはイギリスの荒れた路面状況では荒削りで不安定すぎると感じることも多いが、クプラRは専用チューンのサスペンションにより路面の割れ目で起きる振動を上手く吸収している。低速では特に硬さを感じることもあるが、速度を上げるほど路面の段差を上手く処理するようになる。ゴルフRほど寛容かと言われればそうでもないが、これは想定範囲内だ。
クプラRは明らかに、もっと燃え盛るようなテンションで運転する方が似合っている。アクセルを引きずったままコーナーに進入するとフロントはグイグイと曲がって行く。ほとんど標準の2倍ほどのネガティブキャンバー角によりフロントタイヤに荷重がかかりやすく(われわれの試乗車はノーマルのコンチネンタル・スポーツコンタクト6sのかわりに、オプションのミシュラン・カップ・スポーツ2を履いていた)、リアは多少曲がりすぎてしまう。
ホンダ・シビック・タイプRやルノー・スポーツ・メガーヌほど笑みがこぼれるような旋回性能はないが(四輪ステアリングの効果も大きい)、より無骨な印象を与えてくれるところにもしびれる。
エンジンサウンドにも合っている。エグゾーストはゴルフRよりも(音量という点で)アグレッシブで、最も上の「クプラモード」に入れている時には、スロットルオフ時に破裂音などを出す。これは他のクプラでは味わえない。
タイトなゲートの6速ギアボックスでシフトアップした時のサウンドも最高だ。イギリスではデュアルクラッチのオートマティックは準備されていないが、試乗した感覚からするとクプラRにはデュアルクラッチの方がマッチしているように思う。
ダイヤルをコンフォートモードに戻せば、(ゴルフRほどではないいせよ)スポーティなハッチバックくらいの柔軟さとミドルスペックのディーゼルくらいの従順さは得られる。
エンジンスタート時のブリッピングは、毎回史上最高にホットなレオンに乗っていることを思い出させてくれる。