日野とVW、包括提携なぜ? 商用車どう変わるか キーワードは「MaaS」
公開 : 2018.04.16 07:40 更新 : 2021.10.09 23:54
キーファクターはMaaS
日野がVWを選んだもうひとつの理由を、筆者はMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)に対するVWの積極的な事業体制にあると思う。
自動車産業界はいま、電動化、自動運転化、通信によるコネクテッド化という3つの技術領域をベースに、ライドシェアリングに代表されるシェアリングエコノミーなど新しい自動車サービス産業の創成期にある。こうしたサービス産業を一般的に、MaaSと呼ぶ。
直近では、VWは今年3月のスイス・ジュネーブショーで「2022年までにMaaS関連事業に4兆円規模の投資を行う」と発表している。具体的には、完全自動タクシーや商用の自動輸送車などをドイツを中心に欧州各国で事業化する。
これまで、商用車というと、都市間の長距離輸送を行う大型トラック、都市内とその周辺輸送を担う中型トラック、さらに公共交通としてのバスやタクシーという分類が当たり前だった。
それが昨今、通信やIT産業による革新的な技術の導入によって、より効率的な配車が可能になり、また夜間や早朝など人出不足の時間帯や過疎地などでの完全自動走行の可能性が現実味を帯びてきた。
「乗用車と商用車」、または「個人所有と公共交通」という枠組みはすでになくなっているのだ。
さらには、アマゾンやグーグルなどIT大手によるドローンでの物流の実証試験も着々と進み、さらには船による海上物流の自動化の実用化の目途も立ってきた。
世界はいま、MaaSによる物流革命の前夜にいる。