スーパーサルーン3台 計1861psの直接比較 新型BMW M5 vs AMG E63 S vs キャデラックCTS-V 後編
公開 : 2018.04.22 11:40 更新 : 2018.04.24 15:29
群を抜くBMW M5のハンドリング
鋭敏なステアリングレスポンスと高次元のシャシーバランス、極めて優れたボディコントロールを実現しているBMWと、わずかな差で食い下がるメルセデスとを知ってしまうと、キャデラックの劣勢は明らかだ。それなりの車両価格と、ランニングコストを要するクルマながら、それを肯定するだけの、充分なドライビング性能が得られていないと思う。
一方で、BMW M5のハンドリングは、CTS-Vと直接に比較すること自体が難しい。何しろ、群を抜いて優れているのだ。同じカテゴリーで、E63も優れたドライバーズカーではあるが、完全に凌駕していると感じる。
このクルマの実力の素晴らしさをオーナーが実感するには、一度クルマとしっかり向き合う必要が出てくる。理由は、以前にも触れたが、ドライビングモードのプログラムが複雑だから。現代の電子制御満載のパフォーマンスカーの基準に照らし合わせても、M5は難解だと思う。
キャデラックやメルセデスのような丁度良いドライビングモードが備わっておらず、 エンジンにトランスミッション、パワーステアリング、サスペンション、スタビリティコントロールと4輪駆動システムまで、6種類すべてのメカニズムに別々の選択肢が用意されている。ぞれぞれ3種類のプリセットがあるから、順列で18種類の組み合わせが可能となるわけ。
そこまでする必要があるのかどうか、疑問に思えるほど。BMW Mディビジョンの意図を想像しながら、クルマの設定を把握できるようになるまでは、充分にそのポテンシャルを活かしきれないともいえる。ただ、面白いことに、午後半日もあれば大体のことは理解できたのだけれど。
手っ取り早く説明すれば、スポーツ+と、独立したプリセットで最もクイックか硬いか重いもの、アグレッシブなモードは、基本的にサーキット走行向けのセッティングとなる。残りのモードの中から、自身の好みや路面状況に合わせて、選択するのが良いだろう。