回顧録 日産GT-R vs ポルシェ911 vs アウディR8 前編

公開 : 2018.04.21 07:10  更新 : 2018.04.21 07:10

環境性能も意識した911

それに対してポルシェが採った反撃の一手が、今、目の前にあるクルマである。

外見上の変更は本当に見落としてしまいそうなほどわずかで、ドアミラーが多少大きくなり、19インチ・ホイールのデザインが変更され、前後バンパーのスタイルが微妙に変わった程度だ。

しかし、それは決してポルシェが自社を代表する1台を造形するにあたって仕事をサボったという意味ではない。

新型は従来型に比べて単純に動力性能が向上しただけでなく、大幅にクリーンにもなっている。それはポルシェが、同社の未来に対する不安がいっそう増している現代社会のなかで、今後も自社のクルマを適切な選択肢として残していこうとしている意志の表れなのである。

これは決してバイザッハの製品に対するリップサービスなどではない。3.6ℓのベースモデルは今までよりも30psも出力が向上していながらCO2排出量は242g/kmに抑えられている。

さらに今回テストするカレラSは、390psの出力と42.8kg-mのトルクを誇るさらにパワフルなエンジンを搭載していながら、CO2排出量は旧モデルより大幅に低減して、たったの250g/kmにすぎないのだ。

アウディR8と並べると(R8の出力は420psでCO2排出量は349g/km)これは比較にならないほど優秀な数字であり、しかもそれは今回の911の切り札であるPDKトランスミッションについて言及する前の話である。

PDKを選択すると、マニュアルシフトのカレラSはその価格の1376万円に75万円が加算される。しかしそれと同時にCO2排出量はさらに減少し、わずか240g/kmにまでなるのだ。

これで加速時間が20分の1秒ほど向上するのだから、お買い得としか言いようがない。PDKを装備したカレラSの公称0-100km/h加速タイムは4.5秒で、マニュアルシフトのR8の公称値にわずか0.1秒しか後れを取っていない。

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