回顧録 日産GT-R vs ポルシェ911 vs アウディR8 前編
公開 : 2018.04.21 07:10 更新 : 2018.04.21 07:10
GT-Rの圧倒的な速さ
ところが、だ。「対等に張り合う」などとんでもない話だった。これから始まる対決を前にワクワクしているところを申し訳ないのだが、この日産は静かに開けた公道上で、まるで鼻であしらうかのごとくほかの2台を圧倒してしまったのである。
実をいうと、そのときの路面は水が流れるほどのヘビーウェットで、日産の四輪駆動が魔術を存分に発揮させるには絶好のコンディションではあった。それにしたってGT-Rがロケットのように対戦相手を置き去りにして行ってしまったのを目の当たりにしたときには、残された2台こそ対等に張り合えない不適格なクルマなのかと思わずにはいられなかった。
これまで対決テストの場において、最初の数分間でこれだけ迅速かつ完璧に、自らの圧倒的な優位というものを見せつけたクルマがほかにあったか、わたしはちょっと思い出せない。
もっとも、われわれにはすでにその先まで読めていた。正直にいうなら、今回のテストでGT-Rは常に型破りな強さを発揮したのだが、それは今回のテストに招待するずっと前から予想できていたことだった。
不明だったのはむしろ911とR8が互いにどこまで戦い抜けるかであり、そして最終的にはそのほうが問題としては緊迫したものになるだろうと予想していたのだ(パンツを濡らしそうなほど圧倒的なGT-Rの魅力ほどではないにせよ、こちらも多少の予想はついていたのだが)。
後編へつづく