北フランスへ

第1日目 AM10:45/ドーバー

15分後、給油を終えたわれわれは、北フランス行きのフェリー乗り場に向かう前に、件の青年に3台の室内を体験させてあげることにした。

順に乗り込んでいった彼がいちばん気に入ったのはランボルギーニのようだった。そしてわれわれは2日間のテストが終わるまで、この3台のスーパーカーに遭遇したほかのひとたちからもおおむね同様な反応を受けることになる。

5.2ℓV10エンジンを搭載した最新のガヤルドLP560-4の、いかにもスーパーカー的なスタイルとエンジンサウンドが、この3台のなかではひとびとに対してもっとも強くアピールするらしい。

ここのガソリンスタンドでは、合計で227ℓのハイオクがタンクに注ぎ込また。われわれはこの先、2日間であと2回の給油を行うことになる。つまり、今回のテストにかかる経費は燃料代だけで約12万円（英国でのこのところのガソリン価格は175円/ℓほどである）にもなるのだ。

ところで今回のロケ地として北フランスを選んだ理由だが、そのあたりに点在する第二次世界大戦関連の遺跡を巡って、印象的な風景のなかでスーパーカーの撮影するつもりでいたからだ。けれど、結局それは断念せざるを得なかった。

よく調べてみるとたいていの遺跡は博物館になっていて、クルマを持ち込んで撮影を行うにはふさわしくないとわかったのだ。

そこでわれわれは、北フランスの道路そのものを舞台装置として使うことにした。英仏海峡沿岸のハイスピードで飛ばせる開けた道路は、3台のスーパーカーを走らせるには望みうる最高の場所のひとつだ。

また、われわれがこの手の企画でよく使う英国ウェールズの道路とも違うから、新鮮味があっていい。

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