スーパーカー3台対決 911 GT2 vs 430スクーデリア vs ガヤルドLP560-4 回顧録 前編

公開 : 2018.04.28 08:10

キャラクターの異なる3台

ただし、430スクーデリアにはGT2と同様に(ガヤルドには当てはまらない)徹底した軽量化が施されていて、車輌重量1350kg(空車重量1250kg)を公称する。

したがって、絶対的パワーでは不利に見えるかもしれないが、実際にはほぼ互角である。車重1tあたりの出力で比べれば、430スクーデリアが378psなのに対し、GT2は368ps、ガヤルドは373psだからだ。

また、パドルシフト式の6段ギアボックスを搭載し、燃調マッピングとESPシステムの許容スリップ量が変更されるさまざまな制御モードを備えているところなどはガヤルドと共通である。

もちろん、各車の開発意図とキャラクターには違いがある。

430スクーデリアは見た目こそロードカーのままだが中身は完全にサーキットスペックで、そのキャラクターにはサーキットを可能な限り速く走れるクルマにしたいというフェラーリの願いが投影されている。

実際、彼らのテストコースであるフィオラノでのラップタイムがエンツォより速いと彼ら自身がアピールしているほど走行能力は高い。いかに本格的なマシンであるかがわかるだろう。

GT2も似たような成り立ちのクルマで、公道で使用可能な程度の穏やかさは残されているものの(ただしタイヤノイズの大きさは許容限度ぎりぎり)、430スクーデリアと同様、本格的なドライビング・エンスージァストがターゲットだ。それゆえにキャビン後部にはロールケージが張り巡らされ、カーボンセラミックブレーキを標準で装着し、余分なトリムはことごとく省かれている。

GT2のコクピットに乗り込んで巨大なバケットシートに身体をぴったりと包み込まれると、「ここからいちばん近いサーキットはどこだろう?」などと考えずにはいられない。

その点、ガヤルドは事情が違う。LP560-4の室内はほかの2台に比べるとずっと豪華でロードカー的だ。ギアボックスに「コルサ」(イタリア語で「レース」を意味する)モードが用意されているなど、サーキット走行に関連する要素も備えているが、全体的には430スクーデリアやGT2よりも穏やかで洗練度の高いスーパーカーであり、フランス北端のカレーから最南東のニースまでのロングドライブもサーキットでのタイムアタックも、どちらも見事にこなすクルマだ。

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