BMWの勝利

ただし、どれだけX6の走りが傑出しているとしても、所詮は「これだけの車高があって巨大で重量級のクルマにしては」というだけのことでしかない。もう少し軽いクルマ、例えば先ほど挙げた335dツーリングなどと比べたら、この程度の走りは別に驚くにあたらないのである。

しかし、今回の勝負はご覧のとおりこの2台だけのものであり、したがって決着だけははっきりさせなければならない。レンジローバー・スポーツは単にすべての分野で技術的に負けているだけでなく、価格も200万円は高い。

これらの客観的事実からすれば、勝利の栄冠がBMWの頭上に輝くのを否定することはできない。

けれどそう遠くない未来、このような恐竜が生存できる時代は終焉を迎え、それに代わってもっと燃費がよくて維持費のかからないクルマが登場してくるはずだ。そのクルマたちは今より数百kgは軽量になり、そしてその結果としてランニングコストも安くなり、所有することで環境に対して責任を持てるようになるだろう。

しかし、そうしたクルマであっても同時に運転して楽しいものでなければならないし、それがなによりも重要なのだ。わたしの苦手な予想では、残念ながらそういう日はそれほどすぐにはやって来そうにない。

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