ポルシェに挑むホットハッチ メガーヌR26R vs ケイマンS 後編 回顧録

公開 : 2018.04.30 12:10

いよいよ勝負に入ります。ケイマンSは当時最高レベルのハンドリングで、911を過去のものとしつつありました。いっぽう、幅広いパワーバンドを持つメガーヌは健闘の末ケイマンには及びませんでしたが、この価格帯では前代未聞の素晴らしいスポーツカーです。

AUTOCAR JAPAN誌 69号

もくじ

前編
R26「R」というクルマ
大幅な軽量化
ホットハッチ」ではおさまらない
なぜケイマンなのか
どんな道にも合うケイマン

後編
世界最高レベルのハンドリング
911を時代遅れにしてしまうケイマン
ワイドでフラットなトルク
ルノーの驚くべき健闘

世界最高レベルのハンドリング

今回のルノーのテスト車は量産前のプロトタイプのようなもので英国には1台しか存在しないため、試乗に与えられた時間は1日しかない。

したがって走るのは、すみずみまで熟知していて、しかも交通量が少ない好条件の道に限ることにした。天気がこれほど悪くなるとは予想していなかったが、こればかりは仕方がない。

こういうコースを走らせる用途には、ポルシェはちょっとゴージャスすぎるかもしれない。ケイマンSはたっぷりとしたパワーを十二分に活用できるシャシーを備え、多少の遊びはあるものの、6段トランスミッションのシフトはかなり正確なほうだ。

精密さと磨き上げられたフィールが、ギアシフトは別としても、ブレーキやステアリングを通してひしひしと伝わってくる。そしてなによりも、自然吸気エンジンのリニアなパワーの盛り上がりと切れ味のいいレスポンスは、このパワートレインの白眉と言っていいだろう。

前輪が動力伝達による干渉を受けず、なおかつ重量負担が比較的軽いこともあって、現在地球上で入手可能な新車のなかでは、ケイマンSのステアリングは最高のシステムのひとつに仕上がっている。これより優れたものが存在するとしたらロータスだけだろう。

手応えの作り方あたりなど、まさに絶妙のひと言に尽きる。ステアリングにフィールなんかないとか、現代ではそんなものは時代遅れだとかいう人がいたとしたら、ケイマンをドライブした経験がないに違いない。

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