価格差バトル 日産フェアレディZ vs ポルシェ・ケイマン 回顧録
公開 : 2018.05.03 08:10
「言い訳無用」とは言いかねる価格差
今日の対決テストで解き明かそうと思っていた疑問がいくつもあったが、そのほとんどについて回答を得ることができた。ポルシェはケイマンで911の轍を踏んではいなかったし、370Zは傑作だった350Zから大幅に改良され、論理的にまったく正しい進化を遂げていた。
だが、残る最大の疑問、つまりどちらが総合的にベターかについては、まだ考慮すべき点が残っている。価格だ。
7段ATを搭載した今回の仕様の370Zは399万円で、PDKのケイマンは708万円である。つまり日本における両者の価格差は実に300万円を超えるのだが、日本より日産車が高く、ポルシェが安い英国でも、その差は150万円以上になる。500万円前後の価格帯での差は、現実世界では選択を大きく左右する大問題である。
それを踏まえたうえで結論だ。走りで優れているのはケイマンであり、それは動かしがたい事実である。しかし、たとえそのブランドとエンブレムが金額では測りがたいほどの価値を持つにせよ、150万円もの価格差を正当化するのはむずかしい。まして日本における300万円差など、わたしにはとうてい受け入れがたい。
以上が最後の疑問に対する回答である。コストに敏感な昨今では、たとえルックスや走りにいささか古臭さを感じさせるとしても370Zのほうが選択肢として常識的であり、時代に合っているのではないだろうか。