小型ホットハッチ対決 ルノー・トゥインゴ vs アバルト500 回顧録
公開 : 2018.05.05 08:10
シンプルゆえの奥深さ
ただし、どちらのクルマもそれぞれの最大トルク値に見合ったパフォーマンスを持っており、このパワーの出方の違いが、両車の走りの個性を際立たせているのも確かだ。
アバルトの走りは、沸き上がるトルクでドライバーにエモーショナルに訴えかけるものだ。そのキャラクターは、スポイラーやスカート/大径のホイール/クロームのトリム/ダッシュボードの赤いパネルといった部分を見ても感じられる。500アバルトは、かつての595アバルトの再来のようなクルマなのだ。
一方、トゥインゴの方はもっとシリアスなクルマである。その実力をフルに引き出し、その真価を知るには、ドライバーにそれなりの努力が求められるのだ。トルクが欲しいときはエンジンを回さなければならないし、室内にも特にドライバーをその気にさせるような演出はまったくない。
だがそのシンプルさゆえに奥の深さを感じ取ることができる。500アバルトとトゥインゴ133のキャラクターの違いは、フォーカスRSとメガーヌR26Rとの対比にも似ている。フォーカスの無骨なディフューザーや太いエグゾーストは、メガーヌのシンプルなレーシーさとは対照的である。
これと同じでアバルト500は、視覚的に素晴らしいクルマであることをドライバーにアピールし、トゥインゴは、ドライバーが時間をかけてそれを自分で確かめればいい、というスタンスである。