小型ホットハッチ対決 ルノー・トゥインゴ vs アバルト500 回顧録
公開 : 2018.05.05 08:10
低速でも楽しめるアバルト
高速道路では乗り心地が落ち着かなかったサスペンションも、カントリーロードではタイヤをしっかりと接地させてくれた。シャシーは機敏でシャープで、元気に攻めれば攻めるほどドライビングプレジャーが増していくタイプだ。
直線路では体感できるほどの速さはないが、コーナリングでは不満のないスピードを維持できる。ただしグリップ限界を超えると、フロントから先に流れ始める。
しかし、スタビリティコントロールは解除可能で、リアが軽いため、ブレーキを残してコーナーに飛び込むか、急なステアリング操作によるキッカケ作りで、リアを流すことができる。
それとは対照的に、アバルト500は低めのスピードで走っているときでも運転を愉しめる。エンジンは低回転から力強く、2500rpmからしっかりとクルマを引っ張ってくれる。
そしてターボユニットゆえに、トゥインゴとは違ってエンジンをフルに回そうという気にはならない。ギアボックスはトゥインゴよりもスムーズにシフトできる。
ステアリングは握りやすく、ちょうどいい太さだ。ダイレクト感でこそトゥインゴにおよばないものの、重みは申し分なくフィールもそこそこある。トルクステアもあるにはあるが、ひどいというほどではない。
だが、アバルト500の場合、同じ道を同じスピードで走っても、トゥインゴほどの満足感が得られない。しかし違う意味での満足がある。500のコーナリングスピードは速く、グリップも強力だ。
限界を超えたときはトゥインゴ同様にフロントから先に流れるが、素直なハンドリングで扱いやすく、ステアリングインフォメーションも豊富だ。
ただしスタビリティコントロールは解除できない。ブレーキは2台とも優秀で、公道ユースにはオーバースペックなほどである。ペダルフィール、制動能力ともに、これといった不満はない。