小型ホットハッチ対決 ルノー・トゥインゴ vs アバルト500 回顧録
公開 : 2018.05.05 08:10
幅広い能力をもつアバルトの勝利
最大の違いは、バンプを通過したときの振る舞いにあった。特にコーナーへのアプローチや、コーナーの途中では、アバルト500はダンピングの能力不足が露呈してしまう。500は連続したバンプでは跳ねてしまう傾向がある。
しかしトゥインゴは短い周期のバンプを吸収でき、タイヤが路面から離れることなく、かつシャシーも揺さぶられることはない。
ここらで結論に移ろう。ドライビングの魅力だけを追求する人は、トゥインゴを選ぶしかない。それが答えだ。今回の2台にドライビング・プレジャーを求めるのなら、これ以上この記事を読み進める必要はない。
だが、このテストは「メガーヌR26R vs フォーカスRS」、あるいは「エボX vs インプレッサSTi」といった究極のドライバーズカーを決定するものではないのだ。今回の勝敗の基準は別の部分にある。
トゥインゴがアバルト500よりも勝っているのは、ごく限られた状況においてだけである。たとえば今回のブラック・マウンテンのような厄介な路面条件で、ほかのクルマがほとんど走っていないという場合だ。もし貴方がウェールズの近くに住んでいればそれでいいだろう。
だがトゥインゴは究極的な状況下で、500をわずかに上回っているとうことに過ぎないのだ。それ以外のほとんどの状況では、500の方が幅広い能力を備えている。もしどちらかのクルマを1年間所有したとしたら、トゥインゴの場合、その真価を堪能できる時間はほんの数分に満たないだろう。
われながら驚きだが、最終的には、アバルト500が今回のウィナーである。