AUTOCARの独断と偏見 みごとに期待を裏切られた7台のクルマたち
公開 : 2018.05.03 06:10
アルファ・ロメオ4C(2013年)
心奪われるようなスタイリングと十分なパワー、そしてカーボンのシャシーを備えるアルファ・ロメオの軽量スポーツカー。そんなクルマが嫌いだと言うひとが、はたしているだろうか。
この4Cの登場は、間違いなく2013年のハイライトに数えられるだろう。ところが実際には、この年最大の失望と言えるのではないだろうか。
最も許せないのはステアリングだ。2013年といえば、ポルシェ911でさえ電動パワーステアリングを導入するなど、多くのメーカーがアシストの電動化を進めようとしていた時期。しかしアルファはそんな時流に屈することなく、4Cの操舵系に一切のアシスト機構を与えなかった。
スポーツカーがもっとシンプルだった時代への回帰とも言える英断は、このクルマ最大の美点になってしかるべきだった。
にもかかわらず、4Cのステアリングはどうにも気まぐれで曖昧、さらに落ち着きがなく、このクルマを危なっかしく感じるものとしている。
この小ぶりなアルファを走りにくい英国のB級道路で運転するのは、ましてや対向車などいようものなら、この上なくおっかない思いを味わうことになる。まるで興奮した犬がリードをグイグイ引っ張るように、路面を追おうとするのだから。
ダン・プロッサー:寄稿ライター