AUTOCARの独断と偏見 みごとに期待を裏切られた7台のクルマたち
公開 : 2018.05.03 06:10
プジョーRCZ(2010年)
デビューの瞬間から、すっかりRCZの虜となった。ダブルバブル形状のルーフから吊り目の前後ライトまでどこをとっても美そのもので、以降のプジョーがどれもこれも冴えないファミリーカーばかりになりそうだった気配の中、RCZはまさに最後の砦にも思えた。このクルマにハートを撃ち抜かれたのだ。
だが、そんな熱烈な一目惚れは、残念ながらすぐに失望へ変わった。そのクルマは1.6THPで、ホットなRグレードではなかったが、楽しむには十分なほど速い、はずだった。ところがエンジンは力なく、ただ単調に唸るだけで、あたかも鼻声でダラダラしゃべる小娘のよう。
ステアリングは、個人的には軽すぎると感じた。しかし、最悪なのは乗り心地である。車内がガタガタ揺すられるほど硬いのだ。それはビリヤード台のようにスムースな路面の上でさえ、ハンドリングを損ねるほどだった。なんてこった。
アレックス・ロビンス:中古車担当ライター