AUTOCARの独断と偏見 みごとに期待を裏切られた7台のクルマたち
公開 : 2018.05.03 06:10
フォード・マスタング(2015年)
理由はいろいろあるが、ついに右ハンドル仕様が英国上陸を果たすまで、マスタングに乗る機会がなかった。いよいよコイツを走らせることができるとなって、大いに興奮したものだ。
ところが不幸にも、それを実現するのはミルブルックのヒルルートだった。おそらくテストコースとしては、英国でも屈指の素晴らしい、しかし困難なルートである。
登り下りを繰り返し、つづら折りやヘアピンも含むコーナーが無数にあり、キャンバー変化が多くのクルマとドライバーを翻弄する。
しかし、マスタングはクルマ自体が手に負えないシロモノだった。結局のところ重すぎて、V8エンジンは鈍重で、鼻先の向きを変えたがらず、実に扱いにくかったのである。
このサーキットにいるとマスタングはまったくもって場違いな存在に思えたが、それはアメリカの地形とひどく異なるコースだったからだろう。マスタングのホームグラウンドで乗れば、このクルマの全てが腑に落ちるに違いない。
トム・エヴァンス:上級コンサルティングエディター