中古アストン マーティン 3台乗り比べ 「手の届く上流階級」前編

公開 : 2018.04.28 14:15  更新 : 2018.04.28 14:35

アストン マーティンDB7を考える

今回の3台のうち最も古いのは、265km/hに達するDB7だ。発表は1993年のジュネーブショー。瞬く間にヒットモデルとなり、最終的にそれまでのアストン史上最多の生産台数を記録した。このクルマが生まれなければ、今日このブランドは存続していなかったかもしれない。

アストン マーティンにとって初の本格量産モデルには、懐疑主義者も存在する。彼らの主張は、これがジャガーをベースにした純血でないモデルで、当時の親会社たるフォードの、名門ブランドを利用した金儲けの手段に過ぎないというものだ。しかも、開発を担ったのはTWRで、ニューポート・パグネルではなく、ジャガーXJ220を生産していたブロックスハム生まれだというのも、論拠となっている。


確かに、ベースとなるプラットフォームの源流はXJ-Sのそれで、イートン製スーパーチャージャーを装着した340psの直6も、当時のジャガーに積まれたものと基本的に同じエンジンではないかと思われる。しかし、それは本当に問題となるのだろうか。


DB7が、アストン マーティンの新たな方向性を示したことは間違いない。誕生から20年にわたり細々と作られていた、手作業のアルミ叩き出しボディのモデルがいよいよ恐竜のような時代遅れの存在となり、これに代わる新型車はスティールのモノコックを用いることになったのだ。これは、トヨタ車ベースのシグネットを除けば、ブランド至上唯一の採用例だが、それが纏うボディワークは実に美しかった。イアン・カラムのデザインは、まさに不朽の名作である。市販された数多のクルマの中にあって、最も魅力的な部類に入ると言っても良いだろう。
 

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