中古アストン マーティン 買うならどのモデル? 「手の届く上流階級」後編

公開 : 2018.04.28 20:10

手組みのV12 その走りは?

DB9のように、市街地では本領を発揮しきれず、借りてきた猫とでもいったおとなしさだが、6段MTは力を込めた操作が必要で、4000rpmを超えれば、トンネルなどでは耳を聾するほどの、雷鳴のような轟きを放つ。ドライサンプの8気筒はフロントにマウントされるが、その位置を可能な限り後退させ、51:49の前後重量配分を実現。設計の基礎は1990年代のジャガー用ユニットに見られるが、概ねアストン マーティン向けの専用設計が施され、V12とともにケルン工場で手組みされた。


このパンチのあるユニットにより、ヴァンテージは途方もなく速く感じられるが、このクルマの魅力はそれだけではない。ステアリングフィールは針のようにシャープで、グリップも素晴らしいのだ。アウトバーンの速度域で狂気のようなレーンチェンジをしたり、ワインディングをたがが外れたように飛ばしたりしても足取りは乱れない。


シャシーは、アストン マーティンの定番ともいえる、前後ダブルウィッシュボーン+コイルのセッティング。フロント235/45、リア275/40でZR規格の19インチタイヤと相まって、公道上の速度域でオーバーステアに持ち込むのは正気の沙汰ではないと思えるほどの、尋常ではないグリップを生む。サーキットテストに挑んだオートカーの勇敢なテスターたちは、さんざんテールを振り回しながら無事にピットへ戻ってきたばかりでなく、そのコントローラブルな性格を褒めそやしさえした。なにより、ヴァンテージへの評価は、彼らの力強いサムアップを見れば明らかだったのだが。

「わたしが加入した頃のアストンは、年間の販売台数が1400台程度に過ぎませんでした」と振り返るのはフィスカーだ。
 

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