新型ポルシェ911 GT3 RS試乗 熟成極める991後期型 まるでミドシップ

公開 : 2018.05.01 10:10  更新 : 2018.06.20 15:13


驚くべき限界付近での柔軟性

ミドルコーナーでもシャープでありながら、バランスは極めて高い。コーナリングでリアタイヤを意図的にスライドさせることも難しくはない。鋭いエンジンレスポンスと、強力なミシュラン・パイロットスーツ・カップ2タイヤで、パワースライドに持ち込むことも可能だ。路面が多少濡れていれば、初めはアンダーステア気味に感じられるかもしれないが、自然にスライド状態に導けるだろう。

重量物がクルマの中心に集まり、4輪すべてが均等にバランスされ、自由に振り回せるフェラーリとも異なるし、重量物が前後に振り分けられているアストン マーティンBMW M4 GTSとも異なる。わたしが最も好むような、巧みに操ることができる特性を備えている。GT3 RSで姿勢を崩すことがあっても、前輪側か後輪側のどちらかで、4輪同時ということは少なく、コーナーの途中で収束させることも容易だと思う。

そして、高速でのテスト走行が終了し、コーナリングシーンのビデオ撮影のために再びサーキットに出た際、トラクション・コントロールをオフにする機会を得る。そこでの、すべてが高次元で調和したことによる、GT3 RSの限界付近でのコントロールの柔軟さには、さらに驚かされた。

これまでは不可能と思えたような、優れたボディコントロールを披露するGT3 RS。必要ならダンパーを硬くすることも可能で、アクティブ・エンジンマウントはコーナリング中にしっかりと重量物を固定し、後輪操舵システムはスリップ状況を的確に制御する。ステアリングホイールには路面やタイヤの状況が手に取るように伝わってくるし、ステアリングの切れ角も適切。トランスミッションは瞬時に変速を行ない、スロットルの反応は繊細だ。まさに、願ったとおりのレスポンスをしてくれる。

もしダッシュボードにエンジンの出力計が付いていたら、思わずスロットルを余計に踏みたくなることだろう。クルマと一体になる、陶酔するような体験だった。

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