ロータスの救世主 初代エリーゼ 「1km走れば恋に落ちる」後編
公開 : 2018.05.06 20:10
「ロータス・エリーゼS1」試乗記の後編です。ノンパワーのステアリング、足もとに並ぶアルミ製ペダル、ローバーのKシリーズ・ユニット。1995年の発表から20年以上経った今、エリーゼに迫ってみましょう。
もくじ
前半
ー 完成とは……
ー チャップマン亡き後
ー プロジェクトM112
ー ドア付き・ミドシップ
ー 量産車初 接着剤という手法
後半
ー アルミ剥き出しのインテリア
ー 1995年9月 エリーゼ発表
ー 1km走れば恋に落ちる
ー 中古購入 事故歴に注意
ー この価格で買えるなら「お値打ち」
アルミ剥き出しのインテリア
その極めて革新的なシャシーには、FRP製の外装が取付けられている。M100系エランで組み付けが複雑になり過ぎた反省から、パネルの数を半分の8枚に留め、製造工程を合理化し品質を向上させた。しなやかなボディは、トムソン主導の社内デザインと、外部コンサルタントによる11の設計案から選ばれたもので、まるで光沢のある生地をクルマの四隅からピンと張ったような外観だ。ロータス23やヨーロッパの伝統を受け継ぐ一方、トムソンが所有していたフォードGT40とフェラーリ・ディーノの影響も見られる。ロータスであるとひと目で分かるクルマでありながら、復刻モデルにありがちな退屈さを感じさせないのだ。
ラッカムは、押出成形技術の採用を検討していた時に、その秘めた可能性が、想定よりもはるかに大きいことに気づいたという。シャシーだけでなく、サスペンションのアップライト(世界初採用)やドアヒンジ、サイドインパクトバー、スロットルコントローラー、ステアリングコラムのサポートにも押出成形が使われることになった。
これが、剛性と軽量化の面で大きな利点になる一方、アルミニウムが未塗装のまま剥き出しというエリーゼ特有の魅力的なインテリアを生み出した。