ロータスの救世主 初代エリーゼ 「1km走れば恋に落ちる」後編
公開 : 2018.05.06 20:10
1km走れば恋に落ちる
こうしてエリーゼは、ロータスの歴史が始まって以来のベストセラーモデルになろうとしていた。「われわれは、ロータスの原点に戻るための、勝利の方程式を探しあてました」と、トムソンは語っている。
ドアの開口部が狭く、サイドシルも広いため、エリーゼの低めのシートにたどり着くには面倒な作業を要する。それでも、運転席に収まってしまえば、喜びがわずらわしさを補って余りある。
車内は広々としていて、品質と洗練を感じさせる。そう、手動式ウインドウのハンドルが安っぽく、ルーフも出来は悪いが、クルマの方に壊れ易そうな所はない。エリーゼは、あくまでもドライバーのためのクルマとして構想され、どんな人でも、1kmも走れば恋に落ちるに違いない。
素晴らしいフィーリングのノンパワステ、比類なき敏捷性、高いレスポンス。エリーゼは、コッツウォルズのワインディングロードにおける天の啓示であり、ケータハム21のオーナーを除いて未知の領域だった性能を誇っている。AUTOCAR誌が、「ロータス・セブンを時代遅れに感じさせるロータスがついに登場した」と評したほどだ。