シトロエンDS 4種乗り比べ 「60年前の未来のクルマ」後編

公開 : 2018.05.04 20:10  更新 : 2021.03.05 21:43

DS21デカポタブル登場

私は過去11年余りにわたって60年代中盤の英国車を何台も試乗してきたが、ハンバー・インペリアルやジャガーMk-X、ローバーP5といった並外れたクルマでさえ、このパラスのインパクトには敵わない。短すぎる試乗時間を通じて私は、雲の上を滑空するがごときこのクルマがスラウで生まれたとは信じ難いということを、ずっと考え続けた。デカポタブルの価値は金額では測れない

この記事の登場するDSはどれも印象的だが、なかでもデカポタブルは特別だ。シトロエンは1950年代後半からオープンカーを真剣に考えていた。だからこそDSをカロシェ(=カロッツェリアのフランス語)のアンリ・シャプロンに売ることを拒否したのだが、それは功を奏さなかった。シャプロンはディーラーで買い求めたDSをベースにカブリオレを製作し、1958年のパリサロンに出品。それが大きな反響を呼んだ結果、シトロエンは60年にシャプロンがDSの公式な派生車としてデカポタブルを少量生産すると発表した。

初期のデカポタブルはサルーンのプラットホームをベースにしていたが、64年からサファリのフロアを使うようになった。パリ北西部のルヴァロアにあるシャプロンの工場にシトロエンからシャシーが送られてきた後、フロアメンバーを補強。幌を格納できるように作り直したリア回りに10cm長いドアを組み合わせ、Bピラーを取り去る。このフルオープン派生車は、DSとIDの両方に設定された。
 

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