アルファ・ロメオ・ステルヴィオ vs ポルシェ・マカン・ターボ 新型SUV クラス頂上対決
公開 : 2018.05.11 23:59 更新 : 2018.05.15 16:14
不満の残るポルシェのハンドリング
つい先日、かなりの雪に見舞われたことが原因か、ステルヴィオはピレリのウインタータイヤを履いている。一方でポルシェはサマータイヤのピレリPゼロを履いているから、今日のような穏やかな日には、かなりのアドバンテージとなる。
事実、マカンターボは凄まじく速い。最高出力は440ps、最大トルクはわずか1500rpmから61.1kg-mを発生させるから、2tの車重をものともしない。ストレートだけでなく、曲率を問わず、どんなコーナーでも俊足を披露する。マカンほど、ホットハッチのようなドライビングを体現しているSUVはお目にかかったことがない。むしろ、ホットハッチのような身のこなしを真似しているのかもしれない。
ただし、バランスは優れているが、シャシーは限界を超えるとアンダーステア強く露呈してしまう。恐らくオプションのエアサスペンションを持ってしても改善は難しいだろう。マカンはナチュラルなボディコントロールと、車高を上げたことでのオフロードの走破性を高めることの両立を目指しているのだと思うが、基本的な柔軟さを得られていないのだ。
信頼できる正確性を備えていても、その気になって飛ばすと、足元をすくわれることになる。基本的に路面を選ばず限界は高く、かなりのペースでの走行は可能ではあるけれど、本来のポルシェが持っているような、懐の深さにまでは届いていない。
転じてステルヴィオは優勢だ。今朝、テスト走行前に目にしたフェンダーとタイヤとのクリアランスの大きさから、ボディコントロールは緩いのではと心配していたが、杞憂だった。市街地での走行スピードでは、やや乗り心地は荒いが、スピードが乗った時の垂直方向のボディの動きは、お手本のようなもの。
大柄なボディを感じられずにはいられないが、フェラーリ流の軽量でクイックなステアリングフィールのお陰もあり、後輪をスライドさせるような操縦もいとわない。スロットル操作で、直角コーナーをドリフトで抜けることも許容するシャシー設定となっている。ボディロールも不自然に抑え込まれることもなく、このような挙動を示すSUVは初めてだ。賞賛に値するだろう。
一方で時折、若干浮いたような、タイヤとの距離感を感じることもあるが、ピレリPゼロを履いていたなら、改善されるのではないかと思う。