シトロエンDS 4種乗り比べ 「60年前の未来のクルマ」前編
公開 : 2018.05.04 16:10 更新 : 2021.03.05 21:43
スタイリングは「新たなショック」
DSのデザインは、後のアメリカ車に見られたロケットのような未来的デザインとは違う。フラミニオ・ベルトーニのデザインはまさに「新たなショック」だったが、それを乗り越えてあらためて見れば、合理的なディテールに気付くはずだ。
リアピラーに設置されたターンランプは後続車から見やすいし、グラスファイバー製の軽量なルーフパネルは重心を下げることに貢献している。そしてインテリアは当時のどんな慣例にも逆らうデザインを持っていた。
60年前の真っ当な英国車にとって、人工的な素材を使うのは恥ずべきことだったが、シトロエンはそれを喜んで多用した。スリムなピラーと明るい色の樹脂トリムの組み合わせが、“動く紳士クラブ” のむさ苦しい英国車の雰囲気とは対照的な開放感をインテリアに与えている。ウーズレー60/9はDSより1年旧いだけだが、大きなステアリングや木製のダッシュボードなど、あえて旧いクルマに見えるように考えて作ったかのようだ。
逆に言うと、このシトロエンは謹厳実直な人には向かないクルマだった。