ジャガーXE SVプロジェクト8 助手席試乗 300台限定の実力、ウエットで検証
公開 : 2018.05.09 10:10
プロジェクト8とは? 実はお買い得モデル?
では、プロジェクト8とは、その非常に騒々しいエグゾーストや、高価な価格、そして、コベントリーのオックスフォード・ロードに拠点を置くSVOチームが情熱を注いだという以上に、実際どんなモデルなのだろうか?
まず、XEをベースとしたことで、エアロダイナミクスやボディ剛性、さらに重量配分に関して、SVOはあまり悩む必要がなかった。そして、ジャガー・ランドローバー製5.0ℓスーパーチャージャー付きV8エンジンが、F-タイプSVR由来の四輪駆動システムと組み合わされている。
XE Sに比べ、フロントとリアでそれぞれ24mmと73mm拡げられたトレッドを収めるために、そのシルエットは筋肉増強剤を注射されたようだ。スタンダードモデルと同じなのは、ドアとルーフだけに留まる。
エアロダイナミクスが徹底的に意識され、後ろが断ち切られた巨大なホイールアーチや、カーボンファイバー製の大型ディフレクター、ボンネットに穿たれたエアベントは、フロントに発生する最大リフトを完ぺきに制御するために苦心して取り付けられたものだ。
カーボンファイバー製フロントスプリッターやリアウイングは、車高と併せ、サーキット向けにマニュアルで調整することが可能であり、ブレーキには巨大なカーボンセラミック・ディスクが採用されている。
さらに、ジャガーは、このクルマを、驚異的な硬さと耐久性をもつセラミック製ホイールベアリングを採用した初の量産モデルだとしている。つまり、主要なエンジニアリングの3/4以上がXE Sから変更を受けている一方で、街中でも困らない最小回転半径を維持しており、トランクスペースもスタンダードモデルからわずか5ℓ少ないだけだ。
一方、その14万9995ポンド(2278万円)にのぼる価格は、ファミリー向け4ドアサルーンとしては法外かもしれない。しかし、このクルマを、ポルシェが誇るGT部門が得意とする一切の妥協を許さないエンジニアリングを受けた、特別なサルーンモデルだと考えれば、お買い得に感じるだろう。つまり、その目指すところと、技術的な面で、ジャガーは少なくともポルシェ911 GT3をベンチマークとしているのだ。
当初はBMW M4 GTSがライバルモデルとされたが、そのパフォーマンスとドライビング性能に関して、プークと彼のチームは、開発段階でとうに追い越してしまったと感じており、この限られたモデルだけが存在を許された世界では、それはまさに挑戦状に他ならない。