ロータスの救世主 初代エリーゼ 「1km走れば恋に落ちる」前編

公開 : 2018.05.06 16:10

チャップマン亡き後

1957年に登場したエリートは、あまりにも快速かつ空力特性に優れていた。このため、1216ccのエンジンは76psという出力にもかかわらず、公道でもサーキットでも最強のクルマに挑み、時にはその高い鼻をへし折ることさえあった。


それでも、1960年代から70年代に入ると、ロータスも徐々に変わり始めた。利益率の改善を目指し、ラインナップを高級志向へと模様替えしたのである。後期のエランやヨーロッパでは、快適性が重視され、毛足の長いカーペットや、なんとも恐ろしいことにパワーウインドウまで採用された。これらのモデルも、変わらず優れた性能とハンドリングを誇ったが、車重の増加には抗えなかった。ロータスは、そのルーツから遠ざかり始めたのだ。

チャップマンが1982年に没した後、ロータスは、存続のために戦わざるを得なくなった。老境にさしかかったエスプリのフェイスリフトやメカの刷新を進めたが、かつての偉大なメーカーは、80年代末には新しい “何か” を必要としていた。
 

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