ロータスの救世主 初代エリーゼ 「1km走れば恋に落ちる」前編

公開 : 2018.05.06 16:10

プロジェクトM112

GMが出資した2シーターのロードスター、M100系エランが、その “何か” になると期待された。このクルマのフロントドライブシャシーは、ロータス史上最高という評価を受け、工学的見地においても明らかな成功であった。しかし、屈辱的なことにエランは、ロータスのかつての精神を再現したエリーゼのオマージュとさえ言えるクルマ、マツダMX-5の添え物扱いに留まった。


1993年にGMがロータスを売却したことで、このメーカーの経営は再び行き詰まったかに見えた。出世志向の幹部が、技術部門に関わろうとしたこともつまずきの一因となる。しかし、ロータスの可能性に賭けたごく一部のメンバーが、やがて奇跡を起こした。そのモデルは、エリーゼと名付けられ、シンプルに作ることで卓越したクルマにするというチャップマンの理想に忠実であり、ミニマリズムを体現する傑作車となった。

プロジェクトM112(後に内部コードM111が採用される)の起源は、1990年代初頭に交わされた2つのメーカーの契約にあった。アルミ押出成形技術の開発を進めたローバーは、ロータスが設計・製造するアルミニウム製スポーツカーに、メカニカルパーツを供給することにしたのだ。
 

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