ロードテスト フォルクスワーゲンUp! GTI ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2018.05.13 10:10 更新 : 2018.05.14 15:12
GTIファミリーへ久々に加わった第3のモデル、Up! GTI。コンパクトなシティカーのクラスにおける高性能モデルとして、またGTIの名を冠するモデルとして、期待値を十分に満たしているかはともかく、コストパフォーマンスは十分に購入を検討するに値するものとなっているようです。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術
ー内装
ー走り
ー使い勝手
ー乗り味
ー購入と維持
ースペック
ー結論
はじめに
2台ではまだまだ、3台揃ってようやくパフォーマンスモデルのファミリーと呼ぶに足る顔ぶれと言える。フォルクスワーゲンは、そんなロジックを見出したらしい。伝統のGTIブランドに、久々となる第3のモデルが加わった。
ゴルフとポロに続き、GTIファミリーに加わったのはUp! GTI。2000〜2005年に生産されたルポGTI以来となる、フォルクスワーゲンのボトムエンドに設定されたGTIモデルであり、GTIが3機種揃うのもそれ以来。そのルポGTIは、実に素晴らしい、小さなドライバーズカーだった。
アップライトなフォルムの、ナローで小柄なUp!は、ルポとはかなり違うルックスだ。それだけに、より大きくパワフルで、GTIのフォーマットに忠実なモデルが持つ走りのDNAはそこに詰め込まれているのか気になるところだ。このクルマは本当にGTIファミリーを強化するものになるのか、またUp!がもともと備えているレベルを超え、GTIの名が信憑性を帯びるようなパフォーマンスを発揮できるのか。今回のテストで、それを検証したい。
このシティカーをベースにした高性能モデルの存在を、フォルクスワーゲンが初めて認めたのは2016年。昨年には、オーストリア・ヴェルターゼで開催される毎年恒例のGTIミートで、プロトタイプが公開された。今年2月には、英国での受注がスタートしている。
発表直後からフォルクスワーゲンは、1976年にデビューした初代ゴルフGTIを引き合いに出して、このニューモデルを紹介している。しかし、走らせてみれば、この対比にはいささか無理があるとわかるはずだ。
現状このクラスに数えられるのは、アバルト595やルノー・トゥインゴGT、また価格がやや高めながらスマート・フォーフォー・ブラバスくらい。ただし、ライバルが少ないからといって、必ずしもUp! GTIがロードテストのクラストップを容易に狙えるという訳ではない。
このカテゴリーで勝ち抜くためには、魅力的でバランスのとれた走りを提供しながらも、出来のいいシティカーには欠かせない動的キャラクターを失うわけにもいかないのだ。この小さなGTIは、その名に期待されるパフォーマンスと、市街地で求められる実用性を兼ね備えているのだろうか。