シトロエン C1 1.0i VTR+

公開 : 2012.03.10 12:52  更新 : 2021.03.05 21:45

■どんなクルマ?

フォルクスワーゲンUp、そしてセアトスコダの兄弟車の登場は、まさにシティカー・セグメントへの新規参入者にとっては、より磨きを掛けた1台を投入することを強要し、またある意味そのことに対する苦しみを与えたといってよいだろう。

われわれは最近、フィアット・パンダルノートゥインゴキア・ピカント、ヒュンダイi10の新型モデルをテストする機会に恵まれた。しかし、今年、表面的でマイナーなメカニカルなアップグレードはされているとはいえ、PSAプジョーシトロエントヨタによる兄弟車、トヨタ・アイゴ、プジョー107、そしてシトロエンC1に関しては、ほぼ7年前から変わっていない。そのうち、シトロエンC1のフェイスリフトされたモデルに乗ることができた。

2012年もモデルのC1は、新デザインのフロント・エンド、エンジン・マッピングの見直し、新しいシャシー・スペック、そして装備のアップグレードと、キャビンまわりの材質向上などが行われた。また、価格の見直しも行われ、エントリー・レベルのC1 VT 3ドアは8,000ポンド(103万円)を切るプライスタグが付けられた。

■どんな感じ?

エンジンはたったひとつしか選ぶことができない。67bhpと9.5kg-mのパワー、トルクを持つ1.0リッター3気筒のみだ。われわれに与えられたテスト車両はマニュアルのトップ・グレードであるVTRで、フォルクスワーゲン・High Upや、よりパワーのあるピカント、i10そしてトゥインゴのライバルとなるモデルだ。

シトロエンの”ひょろひょろ”とした感じを受けるエンジンは、C1の悩みの原点だ。

重いショック・アブソーバーはハイスピードでのボディ・コントロールの向上に寄与し、大きなハッチバックに乗っているかのような乗り心地を与えてくれる。しっかりとしたロール・コントロールができていて、平坦でない道路を高速で走っても、姿勢を取り乱すようなことはない。しかしその一方で、低速域でのC1の気持ちのよい乗り心地は若干薄らいだような気もする。若干快適性と個性がなくなったとはいうものの、安全で大人の感じがするクルマに仕上がっている。確かに、街乗りが中心であるなら、低速域での乗り心地が低下したのは残念なことかもしれない。

キャビンは可もなく不可もない平凡なクオリティだ。シトロエンは本革ステアリングをこのハイエンド・モデルに装着したが、その他の部分には、光る安物のプラスティックが使われている。ハンドブレーキの周りに見える醜いボルトの頭やむき出しの配線ががっかりさせるし、ドライバ側のドア・コンソールや足元あたりでトリムがぐらつくようなこともあった。ブルートゥースとの接続が可能といった装備もあるが、それがその他の不備を見過ごす要因にはならない。

■「買い」か?

C1の十分な若々しい魅力は、確かにその他の欠点を補うかもしれない。しかし、厳しいシティカーの競争においては、C1を推薦するのが難しいとうのが実情だ。C1を選択するということは、地元のシトロエン・ディーラーにとってはありがたいことかもしれない。しかし、シティカーのニューウェーブが押し寄せている現状を考えると、残念ながらシトロエンC1は二流であるというしかないだろう。

(マット・ソーンダース)

シトロエン C1 1.0i VTR+

価格 10,000ポンド(129万円)
最高速度 157m/h
0-100km/h加速 13.7秒
燃費 23.3km/l
Co2排出量 99g/km
乾燥重量 805kg
エンジン 直列3気筒998cc
最高出力 67bhp/6000rpm
最大トルク 9.5kg-m/3600rpm
ギアボックス 5速マニュアル

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