フォード・フィエスタST 2018年モデル試乗 新型、操舵/乗り心地は洗練
公開 : 2018.05.18 11:40
乗り心地と運動性能を両立
フォードいわく、この「トルク・ベクタリング」サスペンションは、ワットリンク式サスペンションと同じような効果があり、かなり柔らかいブッシュの装着も許されるようになる。そのうえワットリンク式よりもかなり軽量な点も見逃せない。
フィエスタSTは、かなり練られたフロントハブのデザインを持つが、これはこのセグメントでも一般的になってきた。おかげで、あまりフロントサスペンションのロールセンターを落とさずに車高を落とすことができ、フロントのキングピン角とホイールのオフセットをコントロールし続けることができるようになった。これはトルクステアやバンプステアを出さないために必要なポイントである。
このクルマは全般的に、スプリングレートが通常よりもわずかに高いが、シャシー開発担当のエンジニアの話によると、新しいダンパーとブッシュを組み合わせることで、何よりも重要な、ハンドリングのバランスと、カミソリのようなレスポンスの楽しさを実現しつつ、より円熟した角の取れた乗り心地になった。あまりにも評価が高すぎるかもしれないが、本当の話だ。
前述のエンジニアは他のことも教えてくれた。現行フィエスタSTも愛しているが、不作法で社会に楯突くような乗り心地なのは間違い無く、新型にこの部分を受け継ぐのは許されなかった。これを軟弱だと思うかもしれないが、実はこのクルマを作ったエンジニアたちは、フィエスタの開発途中で、もともと採用予定だったパイロット・スポーツ4Sをミシュランに送り返し、パイロット・スーパー・スポーツのグリップ性能の高さにこだわったことも知ってほしい。