ロードテスト アルピーヌA110 ★★★★★★★★★★
公開 : 2018.06.02 10:10 更新 : 2021.05.13 12:00
復活したフランスのスポーツカーブランド「アルピーヌ」。1969年のオリジナルを想起させるスタイリングだけでなく、軽さというスピリットも引き継いでいます。レイアウトがRRからMRへと変更されていますが、ライバルと互角に戦える完成度なのか、じっくりと確かめました。
もくじ
ー はじめに
ー 意匠と技術 ★★★★★★★★★★
ー 内装 ★★★★★★★★☆☆
ー 走り ★★★★★★★★★☆
ー 使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
ー 乗り味 ★★★★★★★★★☆
ー 購入と維持 ★★★★★★★★★☆
ー スペック
ー 結論 ★★★★★★★★★★
はじめに
恐らく、ルノーがアルピーヌのブランドを復活させるには、相当な苦労が必要だったに違いない。まるでヘラクレスを復活させるように。アルピーヌという名前は、およそ20年もの間、途絶えていたことはご存知の読者も多いだろう。
そしてこの甦った青い勇者の最大のライバルは、2005年の登場以来スポーツカーの巨人であり続けている、ポルシェ・ケイマンだ。アルピーヌの復活を、A110の誕生を、歓迎しようじゃないか。
われわれがアルピーヌ復活の可能性についての話を聞いたのは、2012年。それから4年後、アルピーヌ・ビジョン・コンセプトとしてモナコに登場したクルマによって、アイデアやスタイリングが提示された。
そのコンセプトカーと非常に近い形で具現化されたモデルが、今回テストするアルピーヌA110プレミエール・エディション。しかしそのコンセプトカー以上にイメージを受け継いでいるのが、美しく、魅力的だった1969年のA110ベルリネッタであることは一目瞭然。デザインはイタリアのジョヴァンニ・ミケロッティが行なっている。
オリジナルのA110は、アルピーヌの創業者、故ジャン・レデレのビジョン、軽量でコンパクト、運動性能に優れたスポーツカーを具現化したもの。その後に登場したモデルよりも山岳路の走行性能に優れており、1973年にはアルピーヌ・ルノー・チームで世界ラリー選手権のマニュファクチャラーズ・タイトルを獲得している。
そのクルマが備えていた軽さと運動性能を引き継いで、蘇った新しいアルピーヌA110は、もちろんこのセグメントでの王者を狙っている。2012年にケーターハム・カーズとのジョイントベンチャーによって生み出されたが、2014年に提携関係は終了。そこでアルピーヌの親会社であるルノーが、ほぼゼロからスポーツカーを開発することへの投資と、そこから生じるリスクを肩代わりすることになった。
しかし、この新しいモデルが成功すれば、アルピーヌのモデル展開にも期待できそうだ。アルピーヌの幹部の話によると「未来へ向けた挑戦的な計画」が控えているらしい。
とにかく、A110はポルシェ・ケイマンやロータス・エリーゼ、アルファ・ロメオ4C、BMW M2、アウディTT RSなどが肩を並べるセグメントへ、割って入ることになる。読者も覚えていると思うが、ごく初期の印象は極めて期待できるものだった。この期待が、裏切られることがなかったのか、確かめる時がきた。